デジタルサイネージ 広告の設計

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防衛庁のミサイル開発も担当していた富士精密は、自主技術だけで開発してきたのだった。
そして一九六〇年の十月、富士精密は「K16型ロケットのコンポジット推進薬の製造技術権」の譲渡契約を、ユーゴスラビア政府と締結し、十二月には「K16型五機」の輸出契約を結んだ。
ついで六四年の九月には、インドネシアへK-8型を十機、RT1150型を四機と、輸出契約は好調にすすんだ。
もちろん、宇宙観測用ロケットとしての輸出である。
六五年の八月には、その打ち上げに向けて技術者たちも派遣された。
こうして日本は、民生用ロケットの開発を将来の産業とし、売り出しはじめていたのである。
しかしアメリカにとっては、宇宙観測用であろうとなんであろうと関係ない。
重要なのは、固体ロケットやその打ち上げの技術が、日本から他国へと輸出されたという事実である。
ここが問題なのだ。
アメリカは、こうした日本の動向は気になって仕方がなかった。
もっとも、アメリカが気にしていたのも当然である。
たとえばインドネシアは、技術支援を受けるときなど、背広姿の技術者を富士精密に派遣してきた。
ところがいよいよ打ち上げ試験となり、富士精密のスタッフが支援作業にいったとき、その技術者たちは軍服姿でまっていたのである。
「宇宙の平和利用」にかんする衆議院決議が出るまえの話であり、ロケットとミサこのころ日本では、いくつかの機関で人工衛星を上げる計画が動き出していた。
郵政省・電波研究所の電離層観測衛星や、NHK技術研究所の放送衛星である。
そのため、前年六四年の七月にスタートしていた科学技術庁・宇宙開発推進本部(その後の宇宙開発事業団)と、おなじ科学技術庁の航空宇宙技術研究所では、これらの衛星を自主開発のロケットで打ち上げようと、五力年計画へ向けてのシステム・スタディがはじまっていた。
そして、Q、Nという二つの計画が浮上する。
Q計画は、「一九七二年までに、百五十キログラムの衛星を高度一〇〇〇キロの軌道に上げ、電離層観測衛星にする」ものである。
その打ち上げのために開発するQロケット″は、全長二十八・五メートルの四段式で、誘導装置も採り入れることとなった。
また、第一段と第二段、第四段は固体ロケット、第三段のみ液体の、SSLS型とされた。
高度三六〇〇〇キロの静止軌道に上げる」ものだ。
開発するNロケット″については、全長三十メートルで液体ロケットを中心にしたLLS型と、固体ロケットを主役にしたSSLS型の、二案が出された。
そして検討の結果、固体ロケットのほうが東大ロケットで経験のあることから、N計画はSSLS型となったのだった。
アメリカの軍備管理・縮小局(ACDA)が、前述の「宇宙開発における対日協力・軍備管理の検討」というレポートをまとめたのは、この時期、つまり六五年九月あたりだと思われる。
レポートには、日本を協力関係にとりこむための、さまざまな提言が述べられている。
「日本の宇宙開発能力の向上に米国が協力することにより、日本のプレステージを高め、科学・技術力を世界に実証できるとともに、米国の日本に対する関わりが明確になる。
これは核非拡散活動に有益であると考えられる。
衛星の開発、トラッキング、サウンディング・ロケット実験が、安全かつ望ましい協力分野である」トラッキングとは、打ち上げた衛星を地上で追跡してゆくことをさす。
また、サウンディング・ロケットとは、気象観測ロケットのことである。
固体ロケット技術と比較すると、液体ロケット技術はミサイルとの関連が少なく、液体ロケットが性能的にも、より魅力的であると説得できる」なんとかして日本と協力関係を構築しょうとするアメリカの思惑が、よくあらわれている。
もちろん理由は、固体ロケットの研究をやめさせたかったからだ。
どうしても日本が独自で宇宙開発をすすめてゆきたいのなら、液体ロケットでやってはしかったのである。
アメリカが液体ロケットの技術供与にこだわっていたのは、固体ロケットすなわち弾道ミサ現代のHIHが採用しているような液体水素と液体酸素をつかうような、高い比推力を出すものではない。
比推力というのは、一キログラムの推進薬が、一ニュートン(N)の推力(F)を発生しつづける時間である。
またニュートン(N)という単位は、一キログラムの物体に対して、一なものだ。
クルマの場合はリッター何キロと表現するが、ロケット推進薬の場合は、一Nの推力を生みながら、キロあたり何秒、となる。
話がそれたが、当時の液体燃料は、酸化剤は液体酸素でも推進薬はケロシン(灯油)などである。
おなじ液体燃料でも、液酸液水にくらべれば比推力はずっと低い。
しかも極低温の液体酸素は保管もやっかいである。
したがってロケットのタンクに充填した状態では、長時間の保管はできない。
それにひきかえ固体燃料は、扱いがかんたんである。
保管も、常温でいい。
しかも体積当たりの推力は、きわめて大きい。
つまり兵器としてのミサイルには、最適の推進薬なのだ。
その固体ロケット技術で、日本は「今後3年以内に独自で核弾道ミサイルを開発できる」レベルにまで達していたのである。
そのうえQ、Nという二つの大型固体ロケット開発計画に向かって走り出していたのだから、アメリカにとってはいやなヤツだったにちがいない。
国務省は、そのいやなヤツに液体ロケットの技術を供与することで、なんとか方向転換させようとしていたのだが、政府内部ではかならずしも意見が一致していたわけではない。
国防総省は、どんな形であれロケット打ち上げにかんする技術を他国に供与することには難色を示していた。
これは国防総省という性格上、当然だといってよいだろう。
もう一つ、技術協力に消極的というか、懸念をもっていたのがアメリカ航空宇宙局、すなわち七年まえの五八年十月に設立されたNASAだった。
NASAは、供与した技術を日本が他の国に再移転するのではないかと危惧していた。
日本は輸出管理能力に疑問をもたれていたのである。
そして六五年の十二月、国務省は東京のアメリカ大使館に、こうした提案に対する日本の反応を調査するように求めた。
ただこのとき日本側に出した内容は、ELDOに示したものと同様であり、液体ロケットの技術供与については言及されなかったらしい。
日本側が、その提示に対して難色を示したことはいうまでもない。
協力関係により、固体ロケットやその技術の輸出規制など、さまざまな制約を受けることを嫌ったのである。
こうした背景のもとで、十二月未にパンフリ1副大統領が来日し、佐藤栄作首相と宇宙開発における協力関係について話し合いがおこなわれた。
日本の技術指導でインドネシアがロケットを打ち上げてから、四カ月後のことである。
このわずか四カ月のあいだに、アメリカは対日政策について、じつにさまざまな手を打っていたのだ。
佐藤・バンフリー会談の内容は、衛星開発などにおける二国間協力プログラムについてであり、すでにアメリカが他の先進諸国と締結しているものと同様だった。
しかしこのときの日本側の反応は、アメリカ側には「比較的冷ややか」なものと映った。
そしてNASAのウェッブ長官は、会談について次のような報告をした。
決定には、宇宙活動の中心人物、特に東京大学の糸川博士が意図的にアメリカとの協力をゆがめた背景がある」糸川博士とは、いうまでもなくペンシル・ロケットの時代から東大におけるロケット研究を引っ張ってきた人物だ。

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